2017/08/26 16:17

最近、学生無料だとか18才以下無料というライヴを以前ほどは見かけなくなった。
やるのであれば根気よく続けないと成果が出ないと思うのだが。
自分はそういう取り組みをやったことがないので推測にすぎないんだけど、
「最近ライヴの動員が頭打ちだ、よし、若いお客さんを集めよう、タダにすれば来るだろう」
それで、やってはみたものの思ったような結果に繋がらなかったのですぐに止めてしまった、そんなところだろう。
若い人とは果たして何歳ぐらいで(15歳と22歳では全然違う。普通に考えると22にもなれば音の好みは固まっているので新規開拓のターゲットとしてはあまり期待出来ない)、どういった階層(学生とかサラリーマンとかフリーターとか)で、どういった音楽を聴いていてという分析もなく漠然とやっていたのではないか。
そもそもこういう音楽は人と人の繋がりが全て。何の繋がりもなく突然足を運んでくれるお客さんなど殆どいない。
若い人を取り込まなければ、と使命感に燃えるおじさんたちは、若いバンドのライヴに足を運んで積極的に彼らと交流しているだろうか。
ちなみに、私は若いバンド、若いお客さんの集まるライヴに足を運ぼうと思わない。
なぜなら興味がないからだ。レコードは殆ど中古盤や再発盤しか買わない。ライヴに行くのは知人のバンドや、古くから活動しているバンドだけだ。
食わず嫌いではない。一応現行のバンドに耳は通している。しかし、どれも興味がない。

だから、そういった若年層の開拓、裾野の拡大はやらなくていいと思っている。
シーンが緩やかに衰退していくのは不可避であるという考えだ。
そこに危機感を覚え、何かしらの手を打つべきという立場はわからないでもない。
○○才以下無料というような取り組みはやったことがなかったのだが、
実は10年ほど前、自分もそういう危機感を覚えて若い客層を取り込もうと試みたことはあるのだ。
たまたま、自分のバンドのメンバーが年下だったこともあって、次第に彼らの後輩が足を運んでくれるようになった。
ピーク時には数十人くらい10~20代のお客さんが着いていたと思う。

しかし、自分が10代の頃周りにいたライヴ友達を思い出してほしい。果たして、何人くらいが今もあなたの周りにいるだろうか。
若いお客さんというのはかなりの高確率で離れて行く。
例えば、20人の若年層の開拓に成功したとして、その中で残るのはせいぜい1人か2人だ。
動員が数十人程度の小さなバンドにとって、若いお客さんを取り込むのは致命的にリスクが高いのである。
これは経験しないとわからないと思う、自分たちがやっている音楽に真摯に打ち込んでいれば、集客や音源の売り上げの多寡はそんなに気にならないのだが、一度着いた客が離れて行く精神的ダメージは大きい。
自分としては、同年代のみんなに同じ失敗をして欲しくない。だから、若年層の開拓、裾野の拡大などやめておいた方がいいと都度忠告している。
自分たちのやるべきは、ふと誰かが興味を持ってくれた時のために、日々良い曲を作り、良いライヴをやり、良い音源をリリースする。それだけでいいのだ。

とはいうものの、もしこれを読んでいるあなたのバンドが、1000人だとか2000人単位の動員力があるというなら話はまた別である。
もっとも、その規模で活動出来るハードコア・バンドなんて、東南アジアにすらいないけれども。

15歳の頃、あなたはどんなバンドを聴いていただろうか。
今現在、ハードコアが好きな同年代だと、スレイヤーやメタリカみたいな(当時の)エクストリームなヘヴィ・メタルか。はたまた、ラフィン・ノーズだとかブルー・ハーツみたいなメジャーなパンク。
自分らより年上ならジューダス、メイデンみたいなメタル。もしくはアナーキー、モッズ、スターリンみたいなパンク。
年下ならX-Japanだとかヴィジュアル系、Korn、パンテラみたいなヘヴィ・ロック。
15歳で北欧や南米の連中とテープ・トレードして、ロウなハードコア・パンクを掘ってましたなんてやつはまずいないだろう。
つまり、ハードコアはまずゲートウェイ音楽足りえない。
極端だとか過激だとか中学二年生が憧れるような音楽を探究した結果行き着く音楽である。
そのためには、ゲートウェイであるところのメジャーなバンドに頑張って貰うしかない。
シーンの高齢化は我々のコントロール出来る事態ではないのだ。