2019/08/24 14:19


まず最初に、色んな人たちからなんで京都なの?と聞かれたのでそこから。
話はうちのドラマー井上の結婚パーティにさかのぼります。
そこで、たまたま70sのパンクロックのシーン界隈の人たちと相席したんですね。
超絶コミュ障の自分は初対面の人たちとはほぼ話せないのですが、たまたまGerosの近藤氏もいて、あれこれお互いのバンドの現状について話しておりました。
彼も元々は現do notのタケシ君らとSlapping bikini/Fast cut junk brigadeといったUSタイプの軽くて速いハードコアバンドをやっていて、古くから、自分と梅川がYouth strike chordなんてバンドをやっていた頃からの知り合いです。
自分はパンクのシーンのことはあまり詳しくはないのですが、バンドもお客さんも、これは定番で聴いておくべきって音源はしっかり押さえていて、活動しやすい土台がある印象を受けます。もちろん、中に入れば色んな課題があるんでしょうけど。
一方、大阪にはレコードを集めるやつはオタクだ、オタクがハードコアをやるなみたいな意味のわからないことを言うやつが本当にいるんですね。そこまでバカなことを言うヤツは一部にしても、どちらかというと、ライヴハウスの雰囲気が好きで、爆音を肴にお酒を飲みたいというようなお客さんが主流だし、ハードコア系のバンドをブッキングしているライブハウスのスタッフさんも、あまりこの手の音楽を聴いていない印象。もちろん、ライヴの楽しみ方は色々なんで、そういう人たちの楽しみ方を否定しません。ただ、そういう人たちが自分らのライヴに来ても楽しくないでしょうから、しっかり棲み分け出来れば理想なんですけど、大阪のシーンの分母全体が大きくないのでなかなかそうもいかない。といって、bandcampなんかで日がな一日これはウクライナのなんとかクルーだー!とかチェコのなんちゃらスクールだー!を掘っているような、オタクのためのオタクみたいな人たちも自分らとはちょっと違う。若い人が多いんで、長く続かないですし。
アウェイって言葉よく使いますけど、同じアウェイでも、自分たちに対してまっさらで何も知らない人たちの前で演奏するのは大歓迎なのですが、あまり興味を持ってくれそうにない人たちの前でやるのはちょっとしんどい。大阪での活動が停滞している一方で、東京ではお客さんもそれなりについて、企画者にも恵まれて良い環境でやれているという話をしたと思います。
そこでアドバイスをもらったのは、別に大阪にこだわらなくてもいいんじゃないかってこと。
そう言われてみると、大阪に住んでいるメンバーもいますが、自分は今実家戻って和歌山ですし、岡山のメンバーもいますし、姫路のメンバーもいます。もう練習やレコーディングをするのが大阪ぐらいの意識でいいんじゃないかと。
もちろん大阪でやらないとうわけではないですよ。10月12日は大阪でやりますしね。
今回アルバムの発売記念を京都でやることになったのは、京都のお客さんの方がこの手の音楽をちゃんと聴き込んでいる人が多いという印象があったんですね。少なくともバンドをやってる人たちはちゃんと聴いている。自分らにとってやり易い環境ではないだろうかと。
京都進出?に関してはそんなところです。
では当日のライヴレポを。
トップバッターはDisad。
Hardcore dudeらのメンバーによる、ガチ・ハードコア。後述JhanGiRともメンバー被っております。
ガチなハードコアといっても色々ありますけど、Final Conflictとか、CrucifixとかUKハードコア・パンク影響下のUSバンドを思わせる音楽性。
今まで、ハードコアへの屈折した愛情の空回りが見え隠れした世界を打ち出して来た人たちが、あえてなのか、なんとなくなのか、満を持して聴かせるガチ・ハードコア。
マロさんは今日も自由だったけど、前回のソクラテスほど自由すぎることもなく良いライヴ。
まだ、このバンドは音源もなく、他地方への遠征もしていないと思うのですが、要チェックです。


続いてデモが好評だったAnanas。
といっても、デモの頃とはやや音楽性が変わり、90年代初頭のジャンクとまでいかないけど変則的なオルターナティヴ・ハードコアへと進化。
この音楽性でバシッと纏めてしまうセンスがガーサス。
ちょっとLife..But how to live it?なんかを思わせますね。メロディックな要素はないですが。
そういえばこの日はStraight answer来日時に通訳を務めてくれた、インドネシア音楽コレクター泉本氏が見に来てくれてたんだけど、彼も非常に気に入っていましたね。彼から、今日の対バンの組み合わせがハイブリッドで面白いと言ってもらったんですが、企画した側としてはそういう意識はあんまりないんですね。確かにちょっと前まで彼が住んでいたジャカルタでは、ユースSxEだったらユースSxE、クラストだったらクラストだけ集まって、似たような音楽性のバンドばかりで対バンするのが一般的で、oi!やパンクとも対バンするStraight Answerは例外ぽい存在なんですね。彼がジャカルタに移住し始めた00年代半ばくらいまではハイブリッドな組み合わせの対バンも珍しくなかったそうですが。

3番手は滋賀のConstricted。
かなりメタリックだけど、当然ハードコアをルーツにしつつ、メタルのルーツであるハードロックを踏まえているのがわかる。
メタリックだけど浅はかなモッシュコアのなんかとは明らかに違うし、ドゥーミーだけど、ジャンルとして固定されたスラッジやドゥームとも違う。とにかく一見・一聴して欲しいバンドです。

そして4番手は、最近になってウチの染ちゃんがボーカルとして加入したJhanGiR。
彼はどこに行ってもバンド内の好青年枠です。
音楽性はメロコア前夜のメロディックなハードコアといいますか、Dag nastyのカヴァも披露しておりました。
元々染ちゃん加入前はトリオ編成で活動していたようなのですが(自分は未見)、そこに染ちゃんが加入してぐっと良くなったようです。
我々M.A.N.VS.M.A.Nも去年ようやく二人目のギターが加入したんですけど、ニュアンスがわかるメンバーを探すのってすごい大変なんですよ。特に、境界線上の微妙なバランスの上で成り立っている音楽性のバンドだと。
染ちゃん自身も、前にやっていたThirsty visionが止まって以降この手のバンドをやりたかったみたいで、ピースがばっちりはまったこのバンド今後も要注目です。


そして最後我々M.A.N.VS.M.A.N。

sproutsのメンバーさんのtwitterより拝借。ピンボケてますけど、人殺したような目してて良い写真。


やっぱり自分らにとっては北千住Packsのあの独特な雰囲気が理想のライヴで、あの空気感を関西という環境でどれだけ再現出来るかが目指すところでした。それゆえの大阪ではなく京都だったのですが、今回のライヴは、完全な再現とはいえないものの、なかなか近いところまで行けたんじゃないかと思ってます。
機会があれば関西の方も次回Packsまで足を運んでもらってあの空気を体験してもらいたいですし、あの空気感を知る東京の人たちも関西に足を運んでもらえればと思います。
では、今回のセットリストです。

1.Speak mind
2.This means war
3.Verbal abuse
4.Voice will be heard
5.My advice
6.State oppression
7.Speed,power & aggression
8.Sick society
9.Get Real
10.I won't take part