2019/04/29 21:38

when vinyl is killing underground music-1
ヴァイナルがアンダーグラウンド音楽を殺す

何やら刺激的なタイトルですが、原題はもっと過激で、「ヴァイナルがハードコアを殺す時」ってタイトルだったんですよ。

でも、それだと、「俺のハードコアは死んじゃいねーぞ!」ってつっかかって来る人がいてめんどくさそうなのでね。
いや、あなたの、僕のハードコアを殺してしまわないように色々考えましょうよって問題提起なので。
そこで死んじゃいねーとか言われると話が進まない。
なので、進めます。

世間的にはヴァイナル・ブームだそうで。
ストリーミングやダウンロード等、データで音楽を聴くようになった反動だとか、あるいは、イージーなデジタル媒体とモノとしての魅力に溢れるヴァイナル・レコードが共存しているとか、まあ一般的になされてる、この辺りの分析は間違いないでしょう。
どうでもいいけどネ。
そんなんで、やっぱヴァイナルイイヨネー、パンク/ハードコアはヴァイナルダヨネー、CDはどうも味気ないヨネーなんて声が聴こえてくる。
まあ、かくいう俺自身、ヴァイナル・レコード盤は大好きである。同じ作品がCDとヴァイナルで並んでいたらもちろん後者を選ぶ。
自分のバンドでは経済的な事情でCDで出しているけど、正直CDでは物足りないというのは自分が一番思っている。
その分、誰でも手に取りやすい価格設定にしてるつもりだし、ライナーノート付けたりして、それなりの付加価値がつくようにもしているけれども。

しかし、今はアナログイイヨネーでは済まされないくらいマズい状況になっている。
何がマズいのかというと、ヴァイナル盤があまりにも高すぎるということだ。
原因は原油価格の高騰による、ヴァイナル・レコードの原材料と、輸送費の高騰。
おおよそ、自分がハードコアを聴き始めた90年代の倍ほどの価格になっている。
例えば、90年代当時、ハードコアの輸入盤7インチがレコ屋さんで6~800円くらい。
それが今や1200~1300円くらい。
プレス工場も流通業者もレコード屋もぼったくっているわけではない(一部ぼったくっているレーベルはあるが)。
俺自身、自分たちが影響を受けた・好きで聴いてるようなレコードを仕入れて、自分のバンドのオンラインストアで取り扱っているのでわかるが、
どこのレコード屋さんも以前よりぐっと粗利益を削ってギリギリの値段設定をしているのが手に取るようにわかる。
最近レコードの値段が上がったな…と思ってる人がいたら知って欲しいんだけど、殆どのレコード屋さんは便乗値上げはやってない。むしろ逆だ。

ただ、問題は「なるほど、コストが上がったんだから仕方ないね。」「高いけど我慢しよう」では済まされない部分にある。
ハードコアという音楽ジャンルの性格上、レコード店も経費や単価の高騰をお客さんに転化しづらい。
00年代からのレコード不況で日本国内のレコード屋さんが激減したけれども、それが加速する可能性はありうる。
我々が聴いているような、やっているような音楽の理解し、広げてくれるインディペンデントなレコード店が減るわけだ。
音楽ファンにも、バンドにも、レーベルにも何もいいことはない。

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