2018/12/10 22:24

This was hardcore:Hardcore ≠ fast punk

ハードコア = 速いパンクロックではない


ハードコアというと速くて短くてうるさい。そういうイメージがあると思います。
そして、そのイメージは9割方間違いではない。
でも、ハードコアのレコードを聴くと、たいてい一曲はミッド~スローテンポの曲が入ってるんですね。

Negative Approach - Nothing
https://www.youtube.com/watch?v=SVHXrDn3btk


Black Flag - damaged
https://www.youtube.com/watch?v=zf6W9TMol6U


7 Seconds - We’re gonna fight
https://www.youtube.com/watch?v=F5pe1xxAzS4


Negative Fx - Feel like a man
https://www.youtube.com/watch?v=746F8h_2FoE


Urban waste - No Hope
https://www.youtube.com/watch?v=PdtOpF0rB9w

これって結構重要だと思うのです。
ハードコア=速いパンクと定義する人が結構多いんですけど、往年のパンクバンドとハードコアのスローな曲を聴き比べてみて下さい。


The Damned
https://www.youtube.com/watch?v=MHpDgrG9H1k


The Adverts
https://www.youtube.com/watch?v=3uSNKvTqIGA

完全に別物と言わないまでも、確実に違いを感じることが出来ると思います。
要するに、パンクがハードコアのルーツであることは疑いようもない事実なんですけど、それだけではなく、ハードロック、(アメリカのバンド限定ですけど)カントリー、ニューウェイヴまでハイブリッドしつつ、ハードパンク~ハードコアパンクを経て突然変異したミュータントがハードコアなんですね。
そして、80年代中期になり、初期のハードコアバンドを見て聴いて育った世代が台頭するとその違いはさらに顕実化します。  


Cro-mags - Malfunction
https://www.youtube.com/watch?v=1Dfr8YcAnCU

Chain Of strength - True till death
https://www.youtube.com/watch?v=WkMZicS7-s0

Alone in a crowd - When tigers fight
https://www.youtube.com/watch?v=HW3k5h3gyEk

そして、ハードコアが終焉を迎える80年代末になるとこういうバンドが出て来ます。元来、7SecondsやYouth brigade(CA),Life sentenceにもラップ調の曲があったように、ハードコア・キッズはヒップホップを好んで聴いていたものでした。今では考えられませんけれども。このあたりのKilling TimeやOutburstといったバンドはハードコアのミッド~スロウ・テンポのビートにラップのハネるリズム感覚を取り込み、前出のCro-magsあたりが得意とした、モッシュパートと呼ばれるダンシーなスロウ・パートを確立させます。
もうこのあたりになるとパンク・ロックのパの字もありませんね。Killing timeなんか完全に根っこにあるのはハードロックですし。


Outburst
https://www.youtube.com/watch?v=SJxpMQX5MeA


Killing time(Raw deal)


https://www.youtube.com/watch?v=X6VhqfAczyE

そんな当時最新型だったビート感覚(当時はストンプコアなんて呼ばれてました)も、今聴くと古めかしさを感じるのも事実。これがハードコアが終焉へと向かった引き金の一つでもあったんでしょうね。個人的には嫌いではないですけど。

M.A.N.VS.M.A.Nは79年~89年まで存在していたアメリカン・ハードコアをルーツとしていますが、中でも、ハードコアを聴いてハードコアを始めた世代からの影響が強いと思います。時期で言えば84~88年ごろ。
もちろん、メンバー全員ハードコアばかり聴いてるわけではないですし、これはパンクの影響が色濃かった頃のハードコア、これはその次の世代のハードコアと分けて聴いているわけですらありません。それどころか、メンバーほぼ全員パンク・ロックも好きです。ブルーハーツは嫌いですが。
でもそれら70sのパンク・ロックと自分たちの求めるハードコアの本質的魅力は別であり、時に対極にあったりします。だからそこからの影響は一切出さないでおこう。それが曲作りや音作りにも反映されているのだと思います。