2018/09/19 01:37

最初にUSハードコアを聴いて一番びびったのはカウントの入り方でしょうか。

それまでは70年代のパンク・ロックしか知らなかったので面食らったのを覚えています。


何せ1、2、1234ですよ。
よくロックンロールの文脈でイントロは重要みたいな物言いがあります。
それは、あくまでイントロに印象的なフレーズを持って来なさいよという、名作文学の冒頭みたいな曲作りのハウ・トゥの話です。
これはロックンロールではありません。パンク・ロックですらありません。
ハードコアなのですから、イントロで燃え尽きても構わないから全ての殺気をそこに込めろという音楽理論的には全く間違った話をしているのです。

USハードコア・バンドのカウントの取り方には印象的なパターンがいくつかありますが、1、2、1234をスネアで回すのも応用パターン。


こういうスティックのカウントを交えた応用パターンは初期のハードコア!って感じしますよね。

この時Jマスキス17歳ですか。まあ上手いドラマーって探せばどこにでもいますけど、これだけ確立されたドラマーってまあいません。なおかつ、この数年後にはこれだけ才気走ったドラマーとしての地位を擲って、ギタリストとしても才能を発揮する。要するに初期のアメリカン・ハードコアというのは、物凄い才能のある人たちがまだ未熟な段階でやっていた音楽なんですよ。




Deep wound~Dinosaur Jrと同じような経緯を辿ったアメハーといえばこのバンド。

スティックでカウントを取る時は、バスに合わせた拍を数えるとテンションが出ないんですよ。
ハイハットの拍に合わせて取らないとダメなんですね。





この25秒目ストップ&ゴーに絡めたスティック・カウント痺れますよね。

ニューヨークのハードコアが世界を席巻し始めた80年代半ば頃からスティックではなく、ハイハットでカウントを取るようになります。
スティックでカウント取る時はハイハットの拍を取ると前述しましたが、ハイハットでカウントを取る時はどうでしょうか。
ハイハットの拍を取ってもいいのですが、バスの拍で取ってもいい。要するに、モッシュ・パートが複雑化して、多彩なリズムに対応するのがハイハットでのカウントなんですね。

ところが!なんですが、ニューヨークのハードコアの原型を作ったこのバンドのこの曲、スティック・カウントからヘヴィ・モッシュ・パートへと流れ込むんですよね。これ、単にドラムのマッキーの好みなんでしょうけど、彼のウラを強調したフィルにぴったりハマっていてかっこいい。ただ、これは元々ファンクやラテンやジャズやソウル・ミュージックのバック・グラウンドがあった彼らだからこそ出来たわけで、彼らのフォロワーの誰一人として真似てはいません。



スティックでもハイハットでもボーカルでもなく、フィルをカウント代わりに使うパターンもあります。



極め付けがこれ

ロックンロールにおけるイントロの重要性って結局、ギターリフの問題なんですよ。
でも、アメハーの必殺のイントロって、基本ドラムなんです。
ロックではギタリストが花形ですけど、こういう音楽ではやっぱりドラマーが花形なんですね。

こんなところで。