2018/02/15 00:20



もう一つ深刻なのは、7"フォーマットの壊滅的衰退。
かつては、デモテープで評判を上げたバンドの次のステップとして7インチ・シングルがあった。
感傷とか思い入れ抜きで、7インチほどハードコアの音楽性にぴったりのフォーマットはない。
LPとは違い、アルバム作品として全体のバランスを考えた曲作り、プロダクション、曲順の流れを工夫するなど、おおよそ99%のハードコア・バンドが苦手とすることをやらなくてもよいからだ。
衝動に任せて出来た曲を詰め込む。その基本に忠実であればあるほど最高のハードコア・レコードになる。
そんなわけで、かつては情熱と5,6曲のレパートリーと少しばかりの金があればどんなバンドでも、どんなレーベルでもレコードをリリースすることが出来たのだが。

そして今、7インチのプレス費用はほぼLPの6掛程度だが、ちょっと簡単な計算をしてみよう。
例えば、3000円の新譜LPなら昔より高くなったなあと思いながらも手は出せても、その6掛の1800円の新譜7インチに手が伸びるだろうか。
結果、7インチをリリースするバンド、レーベルが激減し、bandcampなんかでデモを発表したバンドの次のステップはいきなりLPになってしまった。
新しいバンドだけではない。
例えば、7インチ一枚だけを残して解散したバンドのレコードは、現状二度と再発されることないだろう。
中には、デモの音源やライヴ音源を追加収録して180g豪華ブックレット付ゲートフォールド盤LPで再発されることもあるかもしれない。
オリジナルはゼロックスコピーの手描きジャケのDIYリリースのものをわざわざ豪華装丁にしてしまうセンスはさておいても、7"に詰め込まれた4~8曲だからこそ魅力的だった音源に、わざわざあれやこれやを追加収録して何の意味があるのか。
一昔前のディスコグラフィCD的なお手軽盤なら話はわかるが、ゲートフォールドの豪華装丁盤LPである。
そんなものがハードコアのレコードに似つかわしいだろうか。
バカの一つ覚えの豪華パッケージはFuck Off And Die!